こぎつね雪花です。
「あれ?
洗濯物が少ないな…。
何でだろう?」
私の息子が急逝した翌日、
夫は葬儀会社に葬式の手配を、
私は自宅で家事・育児をしていました。
洗濯物を洗濯機に入れた後、
洗濯槽にまだ余裕があるのを見て、
不思議に思ったのです。
「もっと満杯になるはずなのに…」
我が家は5人家族です。
洗い物が多いので、
毎日2回は、洗濯機を使います。
「何か変だな…」
息子が亡くなった直後、
私は、深い喪失感に包まれ、
呆然としていました。
そのため、頭が回らず、
どうして、洗濯物が少ないのか
咄嗟には気付けなかったのです。
暫く考えてから、
「あぁ、そうか。
息子の服が無いからだ」
「昨日、息子は死んじゃって、
お風呂に入らなかったから、
洗濯物も無いんだな」
季節は冬です。
息子のいつもの服装は、
厚手の長袖トレーナーに長ズボン。
第一子、小学4年生の長男は、
3人兄妹の中で、
一番、体が大きいため、
その分、服もかさばります。
けれど、その服が無いのだから、
いつもは満杯になる洗濯槽も
今は余裕がある状態なのです。
「あぁ、そうか。
私の息子は、
もう二度と着替えをしないんだ。
死んじゃったから、
洗濯物もでないのか…」
思わず、涙がこぼれ落ち、
無性に悲しくなりました。
洗濯以外にも、
息子がいなくなってから、
・食事の支度や後片付け
・お風呂
・掃除
・宿題の丸つけや学校の準備
等々…
いろいろな時間が短くなりました。
そうなのです。
全て作業が、いつもより、
早く終わってしまうのです。
「あれ…、何か足りないな…」
本当は分かっています。
息子は、もう、いないのだと。
けれど、
毎日、違和感と共に過ごしています。
息子の存在が大きい分、
私の心の穴も大きいのです。